肺高血圧症治療への新たな試み―リオシグアトの臨床試験進む
| ・ | 第Ⅱ相臨床試験の良好な成績を欧州呼吸器学会で発表 |
| ・ | 第Ⅲ相臨床試験を年内に開始予定 |
2008年10月8日
ベルリン(ドイツ)、2008年10月6日 ― バイエル・シエーリング・ファーマ社は、第Ⅱ相臨床試験の良好な成績を受け、リオシグアト(BAY 63-2521) 経口薬の第Ⅲ相臨床試験を開始する予定です。リオシグアトは、可溶性グアニル酸シクラーゼ(soluble guanylate cyclase :sGC)刺激薬という、血管拡張薬に分類される、まったく新しいタイプの薬剤で、さまざまなタイプの肺高血圧症への新薬候補として研究開発が進められています。リオシグアトは、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(chronic thromboembolic pulmonary hypertension :CTEPH)と、肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension :PAH)の患者さんを対象にした第Ⅱ相臨床試験において、患者さんの運動耐容能を投与前に比べ著しく改善しました。これらの疾患を適応症とした第Ⅲ相臨床試験は、2008年末にも開始される予定です。
非対照、非盲検で行われた第Ⅱ相臨床試験の主要な成績は、本日、ベルリンで開催された欧州呼吸器学会(ERS)中のバイエル・シエーリング・ファーマ社共催のサテライトシンポジウムで報告されました。患者さんの運動耐容能が著しく改善したのに加え、肺血管抵抗、心拍出量、肺動脈圧のような心血行動態パラメーターも、投与前に比し改善が見られました。また、リオシグアトは忍容性が高く、良好な安全性が示されました。より詳しい試験成績は、2009年5月に米国カリフォルニア州サンディエゴで開催される米国胸部学会(ATS)で発表される予定です。
グローバル臨床開発担当責任者で、バイエル ヘルスケア社 経営委員会メンバーのケマール・マリック博士は、「リオシグアトは、肺高血圧症治療における現在の限界を超える可能性を持っています。私たちは『アンメットメディカルニーズ』に応えようとしており、リオシグアトはバイエルが尽力している循環器系疾患治療への新しい試みの1例といえます」と述べています。
治験責任医師であるドイツ・ギーセン大学内科、肺高血圧症部長、ホサイン・アルデシア・ゴーフラニ教授は「肺高血圧症は命に関わる疾病で、多くの患者さんが有効な治療方法がないまま置き去りにされています。私たちは、リオシグアトの今回の有望な試験成績に期待を寄せています。もし、これらの成績が第Ⅲ相臨床試験で再現されれば、肺高血圧症の患者さんと医師たちにとって、実によいニュースとなるでしょう」と述べています。
CTEPHとPAHに対する第Ⅱ相臨床試験が終了し、間もなく第Ⅲ相臨床試験が開始される予定です。さらに、間質性肺疾患に伴う肺高血圧症(PH-ILD)、慢性閉塞性肺疾患に伴う肺高血圧症(PH-COPD)のような他タイプの肺高血圧症(PH)に対するリオシグアトの第Ⅱ相臨床試験が現在実施されています。これらの試験成績の第一報は、それぞれ2011年と2009年に発表される予定です。
世界保健機構(WHO)によると、PHは次の5種類に分類されます: 慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)、肺動脈性肺高血圧症(PAH)、 左心性心疾患に伴うPH(PH-LVD)、 慢性閉塞性肺疾患に伴うもの(PH-COPD)および間質性肺疾患に伴うもの(PH-ILD)を含む、肺疾患または低酸素血症を伴うPH、 前述の疾患にあたらない様々なPH。
カテゴリーごとの原因は異なるため、それぞれに対する治療方法が必要です。残念ながら、現在承認されている治療方法はPHの中でも少数派であるPAHのためのものです。また、最新の治療を行っても、PAH患者さんの平均生存期間は診断後5年から6年間で、新たな治療方法が必要とされています。
リオシグアトは、内因性血管拡張物質である一酸化窒素(NO)が作用する同じ経路を介して作用します。NOは可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)の活性を調節することにより、血管を弛緩させ、肺と心臓の負担を軽減します。
リオシグアトはsGCに直接的に刺激すると同時に、内因性NOに対するsGCの反応性を高めます。リオシグアトはPAHの治療に有効であり、動物モデルにおいては合併する右心肥大と血管リモデリングを抑制します。
リオシグアトはsGCに直接作用するため、NO経路を介する治療法の短所を回避することができます。さらに、ホスホジエステラーゼ-5(PDE-5)阻害剤、エンドセリン受容体拮抗薬、プロスタサイクリン誘導体など、現在使われているPH治療薬の限界を超える可能性があります。
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